先日は、地元で開催された祭に参加し、その打ち上げですっかり飲み過ぎてしまった鶴蔵です。
達成感に浸りながらいただくお酒は、どうしてこんなに旨いのでしょうか。
私たちが寄席を続ける理由のひとつも、きっとここにあるのだと思います。
宴会の席で、落研出身ということを伝えると、「一席お願い」と言われることが多く、これまでは小話を披露したり、饅頭を食べてみたりしていたのですが、最近は大先輩に教えていただいた「運命のコインマジック」を披露しております。
「女性の心を射止める芸」として伝授されたマジックですが、私の場合は会場の皆様に向けた一斉射撃です。
マジックを披露した瞬間の嬉しそうな表情が、お酒をさらに美味しくしてくれます。
この一生モノの芸を教わったのは、千葉大学落語研究会大学祭特別興行の打ち上げでした。
■ 秋の大さまめのお話を
さて、今回は10月に開催された「秋の大さまめ」についてお話いたしましょう。

集合写真。カメラマンから「自由にポーズを」という声がかかった一枚。
晴天に恵まれた「秋の大さまめ。」
千城台コミュニティセンターさんが開催する「千城台コミュニティまつり」の一環として、若葉文化ホールにて、千葉大学落語研究会現役&OB寄席「千葉大演芸会」として開催されました。
皆様、この題名に込められら「言葉遊び」に気づきましたでしょうか。
センターの皆様が名付けてくださったもので、「千葉大学」と「大演芸会」をかけ合わせたものだそうです。
(この素晴らしい発想は、いつか参考にさせていただきたいなと密かに思いました。)
そのチラシには、こんなコメントも。
~上は人生ベテラン組 下はピチピチ現役生
世代を超えた 笑いの祭典 ここに開幕~
さあ、ついに始まりますよ。
秋さまめの開演です。
■ 総勢21名の大演芸会。見どころを少しだけ
全員紹介.................といきたいところですが、出演者はなんと21名!
今回は、寄席の裏側で起こったハプニングや寄席の立役者にスポットを当てていきたいと思います。
◎ 間に合うのか!?タイムスケジュール
今回の見所のひとつはプロの噺家さんの登場です。
スケジュールでは、11時に古今亭今いちさんが登場する予定であり、その登場時間だけは遅らせることができません。
そんな緊張感を抱えつつ、10時に寄席がスタートいたしました。
最初に登場したのは勢いのあるこの2名。..........ですが勢いに乗りすぎたのか、一六亭玖世さん、有賀亭笑来さんの熱演で、この時点でまさかの15分押し。
会場の盛り上がりと裏方のドキドキが交錯します。
「早く、早く、擬宝珠をなめろ!」
「早く、茶を飲め、飲むんだ!」
運営はドキドキだったでしょうが、どこかこの状況を楽しんでいるようにも思えました。

高座の様子を見守る
残り15分で2名、そのうちの1名は、ふくぶくろの「たっぷりやる」ことでお馴染みの「麻屋真蔵」さん。
一体どうなるのか..........
続いては、田原かいようさん。
ギター漫談で一気に会場を盛り上げ、見事に役割を果たして真蔵さんへバトンタッチ。
(かいようさんのギター漫談は、笑いどころはありながらも、心温まる内容となっており、あまりの良さに次のふくぶくろの寄席へスカウトしたほどです。.)
さあ、序盤の見所、真蔵さんの登場です。
真蔵さんも、枕だけで時間を完璧に調整。その内容も「話の続きが気になる方は来週の幕張寄席にお越しください」と、自身がトリを務める幕張寄席への伏線を張るという次へつながる展開。
そういえば、真蔵さんは言っていました。
「秋の大さまめでの私のミッションは、幕張寄席の宣伝だ!!」
話はそれますが、幕張寄席の集客は大変厳しく、前回は確か5名ほどだった気がします。
さあ、その幕張寄席に何名のお客様がいらっしゃったかは、次回のブログのお楽しみ。
高座から降りてきた真蔵さんの肩を、運営陣はポンっと叩きます。
今回のMVPのひとりは、間違いなく真蔵さんでしょう。

ファインプレー!真蔵 さん!
こうして、無事に今いちさんは3分遅れで登場いただくことができました。
玖世さん、笑来さん、かいようさん、真蔵さん、この胸熱のエピソードは一生語っていきますね。
さあ、プロの噺家さん、さらには、寄席文字のプロ、橘右朝さんの登場で、これからますますエンジンがかかっていきますよ。

橘 右朝 さん

春風亭 吉好 さん

古今亭 今いち さん
◎ 裏方の大活躍
さすがはプロの方々。寄席の空気はグングンと盛り上がっていきます。
その裏では、裏方スタッフの力がしっかりと支えていました。
千葉大落研には、「襲名」という文化があります。先輩が名乗っていた高座名を継承するというものです。
その結果、同じ高座目の演者が、同じ寄席に登場するということも、よくあります。
今回も、浮世亭小凡さんは3代登場しておりました。
「重なる高座名について、めくりでどう表現するのか」
これは難問を解決したのは、6代目浮世亭小凡さんの粋なアイデアでした。

高座の様子
開演前、めくり台が高座に設置された瞬間、小凡さんが嬉しそうにつぶやいた一言が印象的でした。
「これが大人の遊びだよ」
さまめの3人に知恵をかし、そして自ら動く小凡さんも立役者のひとりです。
ご紹介した寄席文字も千葉大落研の伝統ですが、下座の生演奏も同じく伝統です。

下座の様子
そして、今回の番組では下座チームも高座に登場です。
その名も、「ろんどと仲間たち」。
花乃家ろんどさんを中心とした下座チームです。
(名前のわりに2名の登場だったのは、突っ込んでもよかったのでしょうか。)
ですが、相性抜群のこの二人には人数など関係ありません。軽快なトークで大いに会場を盛り上げます。
後日伺った話ですが、この時のろんどさんのトークはアドリブだったとか。この柔軟な発想は、どんなサゲであっても臨機応変に対応することが求められる下座で磨かれた武器なのでしょう。
◎ 秋の大さまめの立役者たち
今回の寄席を語るにあたっては、この3名に触れないわけにはいきません。
さまめの3名、三升亭酔狂さん、浮世亭楽狂さん、十五夜月海さんです。
寄席の準備から、本番、そして宴会まで、全力で走り抜けてくれました。
そんな3人の個人的なイメージを書かせていただきます。
【三升亭 酔狂】
いい塩梅でチームのバランスを見事に調整する陽気なドラマー。彼がいると、場の雰囲気がふわっと和む。誰もが望む彼のその存在を、「ゆるキャラ」と言うのは失礼か。

雑談する酔狂さん。いい写真がなかった!
【浮世亭 楽狂】
仕事に対しても、人に対しても、細かいところまで気を配る絶対音感の調律師。寄席文字はウマい、落語は面白い、着物は似合うときたら、他に足りないものはあるのだろうか。

高座の楽狂さん。会場、大爆笑!
【十五夜 月海】
「さあ行こう」と大きく手を振り、最後まで笑顔で走りぬく魅惑の指揮者。彼についていきたくなるのは、カリスマ性によるものか、その甘いスマイルによるものか。高座できった啖呵に新たな魅力を感じた。

高座の月海さん。そのスマイルよ!
これからも、さまめとして大いに活躍していただくとともに、また一緒に寄席をやりましょうね。
◎ 寄席のもうひとつのテーマ
今回の寄席の目的は、地元のお客様に楽しんでいただくことの他に、もうひとつテーマがありました。
「千葉大学落語研究会 大学祭特別興行を盛り上げよう。」
2週間後に控えた3年生の卒業公演「大学祭特別興行」。
これは千葉大落研にとっては、1年で最も重要なイベントなのです。
その舞台に、ひとりでも多くのお客様にお越しいただきたい。
そして、私達OBも現役の背中をそっと押すことができたら。
そんな想いで作り上げた寄席でした。

今回のトリ、子敷屋 飛雲 さん。独特の空気で語る唯一無二の落語。また聞きたい。
もちろん、現会長 風呂屋 苦沙弥 さん、いらし亭 旭陽 さんの高座も最高でした。このプレッシャーの中、よく走り抜けてくれました!
そして迎えた2週間後の大学生特別興行。
秋の大さまめ会がきっかけでいらっしゃったお客様。
久々に顔を出してくれたOBさん。
さまめが繋げてくれたのは、お客様とのご縁でもあり、OBさんとのご縁でもあったのです。
■ 運命のコインマジック
そろそろ、まとめに入っていこうと思います。
冒頭で紹介した「運命のコインマジック」。
この芸は、大学祭特別興行の打ち上げで大先輩に教えていただいたもの。
秋さまめが運んでくれた「ご縁」のひとつです。
その内容は、3枚のコインから1枚を選んでもらい、私がそれを当てるというマジック。
2枚では物足りず、4枚では失敗する。3枚だからこそ成功するマジックなのです。
このコインマジックを、さまめの3人に重ねたら話はできすぎでしょうか。
でもやはり思うのです。
この3人だからこそ、秋の大さまめは、あれほど温かく、そして力強く成功したのだと。

冒頭に紹介した写真は、橘右朝さんが不在だったため、改めてもう一枚!