こんにちは。
先日、知り合いのおじいさん、おばあさんに誘われて、タケノコを掘ってきた鶴蔵です。
小学生ぶりのタケノコ掘りでした。
大人になると「欲」がでますね。
せっかく収穫するなら、できるだけ柔らかいものを。
しっかりと周りを掘って、根本からきれいに取りたい。
私は2時間で5本ほど。
一方で、一緒にいたおじいさん達は1人20本。
もう、大小もオスもメスも関係なく、とにかくガンガン収穫していました。
そして、うちに帰ってタケノコを食べて気づきました。
「全部、ウマい。」
どうやらこの竹林、もともと畑だったらしく、土がいいのだとか。
やっぱり大事なのは、土壌ですね。
■ 穴川寄席の話を
さて今回は、「欲」の話です。
やりたいことをとにかく詰め込んだ、穴川寄席「この町を駆け抜ける」の振り返りです。
今回のトリは、私、麻屋鶴蔵です。

◎ 開演3分前
舞台袖からのぞいた会場は、想像以上の景色でした。
用意した席が足りないほどの入り!50名から60名くらいのお客様がいらっしゃったでしょうか。
嬉しさと同時に、不安も膨らみます。
そんな中、隣の真蔵さんが一言。
「私達は、もうこの会場のキャパに収まらないですね。」と冗談交じりに笑っていました。
◎ 演者の登場
まずは、浮世亭楽狂さん『権助魚』
発声や所作、間の取り方まで、全てがキレイなので、どんな噺でも笑いを取ります。
千葉大学落語研究会という、土壌の良さも感じました(笑)。
彼女の刻む心地よいリズムにお客様が呼応し、会場がホクホクに出来上がっていきます。
続いて、風呂屋苦沙弥さん『初天神』
正直に言うと、今回の寄席は“とっちらかる”予感がありました。
なにせリレー落語です。それも創作で。
そんな中で、しっかりと軸を作ってくれる存在が苦沙弥さんです。
彼の「いぶし銀」の芸が、しっかりと「寄席っぽさ」をもたらしてくれるのです。
こういう役割が本当に必要なんです。
仲トリは、麻屋真蔵さん『芝浜』
今回必要だったのは、「芝浜を仲トリでやってくれる人」「私が作った禁酒条例(上)を仕込んでくれる人」でした。
この2つの噺が、私のトリ噺「禁酒条例(下)」につながっていくのです。
正直、面倒な役回りです。
それを引き受けてくれたのが、真蔵と愛狂さん。
真蔵さんの高座は見事でした。
長い噺をテンポよくまとめながらも、登場人物の感情は丁寧にくみ取り、「芝浜」が持つ人情味を味わせてくれました。
そして何よりもマクラ。
もう何の話をしていたかは忘れましたが、なんであんなに盛り上がるのでしょうか。
あれが、力なのだと思います。

仲明けは、田原かいようさん『ギター漫談』。
かいようさんは、ふくぶくろの寄席に初登場です。
ああ、ブログを書いている今でも、かいようさんが奏でる心地よいメロディーが聞こえる気がします。
決め台詞の「それでも陽は登る。」
笑いだけではなく、前を向いて進んでいく力をくれる芸。
舞台袖で聞いていた私は、「私もそんな落語ができたらな」と感じておりました。

ヒザは女難亭愛狂さんで『禁酒条例(上)』。
寄席のちょっと前の話です。
この噺は、そのまま私が披露する「禁酒条例(下)」に繋がっていきます。
だからこそ、お互いが演じる世界観がずれないようにと、この噺が録画されたデータを送ってくれました。
私のわがままに、真剣に向き合ってくれる優しさが沁みました。
私の演出は残していただきつつも、独自の解釈やくすぐりも加えた「愛狂流」の落語をたっぷりと楽しませていただきました。

そして、私。
『禁酒条例(下)』
今回やりたかったのは、次の3つです。
・創作リレー落語
・現実と落語世界の融合
・エンディングでの寄席の振り返り演出
すべてを詰め込みました。

結果は、
正直、賛否両論でした。
私自身も、「やりすぎちゃったかな」と思うところもありました。
◎ 帰りの電車の中で
ちょっと複雑な気持ちで帰りの電車に乗っていた時のこと。
後輩が私に声をかけてくれました。
ステキな演出だった、と。
嬉しかったですね。
本当の寄席のハイライトは、あの瞬間だった気がします。
■ 寄席を終えて
今の私は、「まだまだ「禁酒条例(下)」を磨きたい、もっとよくできる」という気持ちに溢れています。
なんて、欲深いのでしょうか。
でも、その欲があるから、次に進める気がします。
そういえば、タケノコは収穫してすぐが一番ウマいそうです。
時間が経てばたつほど、固くなっていきます。
これから、私が向き合っていくものは落語。
「なんだ、創ってすぐが一番ウマかった」
そうは、言わせないために、もっともっとこの噺を磨いていきます。

※おまけ
打ち上げで、愛狂さんのお誕生日をお祝いしました。
この写真は、誕生日プレゼントのウイスキーの値段を聞いて驚いている愛狂さんです。